連れ去りの禁止理由



子の連れ去りが禁止されなければならないのは、以下のような理由からです。


①愛着対象の喪失
 子どもは乳児であっても、両親のどちらにも強い愛着(精神的つながり)を感じていることが分かっています。連れ去りは子どもの「両親から愛情を受ける権利」を害する行為です。

②環境の変化
 慣れ親しんだ環境からの突然の連れ去りは、子どもに大きな心理的負担を与えます。

③別居親の精神的苦痛
 愛情を持って育てていた子が突然いなくなることは、別居することになった親にとって多大な精神的苦痛をもたらします。

④協同養育の困難化
 ③の結果として夫婦間の亀裂が拡大し、協力して子を養育することが困難になります。

⑤子を利用しての脅迫
 別居することになった親は子に会えない辛さに苦しみます。それを利用して「子どもに会いたければ~しろ」といった条件を出され、不利な状況で交渉をすることになります。

⑥社会秩序の悪化
 殺人事件、傷害事件、未成年者略取事件、また自死など、子の連れ去りがきっかけになっている事件が多く発生しています。子を連れ去った相手への恨みや、子に会えなくなった辛さが原因のためです。

⑦面会交流の阻害
 多くのケースで子を連れ去った親は、他方の親が子どもと会うことに否定的です。別居親に会えないことは、子どもにさまざまな悪影響を及ぼすことが分かっています。

⑧被虐待児の増大
 アメリカ司法省では「子どもとの関係を妨害することは情緒的虐待である」とされています。子の連れ去りを容認することは、一方の親と会えなくなったり、親子関係に溝ができたりする子どもが今後も増え続けることを意味します。それで犠牲になるのは子どもたちです。

⑨ジェンダー差別による誤った正当化
 母親が子を連れ去った場合、「子育ては母親が担ったほうが好ましい」といった母性神話が言われることがあります。しかし養育能力は性差で決まるものではなく、また養育能力の優劣に関わらず子どもは両親に愛着を感じています。両親のどちらが連れ去ったとしても子の福祉を害する行為です。

⑩家庭内暴力や虐待の捏造
 子の連れ去りを正当化するため、家庭内暴力や虐待があったという虚偽の報告がされることがあります。これらの訴えがあったとしても真偽は慎重に確かめられなければならず、冤罪によって親子の絆が断ち切られることがあってはなりません。

⑪ハーグ条約との整合性
 ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)では、国際結婚したカップルの一方が子を連れ去って国外に出た場合、元の国に子どもを返還するように定めています。これは子どもの利益を守るためです。国内であっても子の連れ去りが子どもの利益に反することは言うまでもありません。

⑫児童の権利に関する条約との整合性
 この条約の第9条には、「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」とあり、連れ去りはこれに反する行為です。

⑬連れ去った親の病理
 不当に子を連れ去る背景には病理が存在する可能性が指摘されており、監護者としての適性が疑問視されます。

⑭裏切りの助長
 今日までの日本の司法では、先に子を連れ去った親を親権者とする判決が多くありました。つまり先に裏切って子を連れ去ったほうが得をするという判決です。これは子の福祉に対する誤った理解がされてきたからです。このような判決は上記してきたように、子の福祉を害しており、社会秩序にも悪影響を及ぼし続けることになっています。

  • 最終更新:2013-06-16 15:44:39

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